パンやケーキをふんわりやわらかにふくらませたり、ボリューム感のあるおいしそうな見た目を実現するために、ベーキングパウダーが使用されています。ベーキングパウダーは膨張剤やふくらし粉とも呼ばれ、生地に加えて加熱するとガスが発生して生地がふくらみます。
ベーキングパウダーは、重曹などの基剤、酸性剤、その他の食品素材から構成されています。
重曹は、加熱により炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させますが、単独ではガス発生のタイミングを制御できません。
そのため、ガス発生のタイミングに合わせた酸性剤を選定し、基剤と酸性剤のバランスを最適化する必要があります。
当社は、製剤の配合を単に最適化するだけでなく、ベーキングパウダーに特殊なコーティングを施しています。
そのため、当社の製品は、お客さまが製品開発時にイメージした焼き色、食感、ボリューム感を実現できるよう、ガス発生のタイミングを細かく制御できます。
さらに、即席麵の湯戻り改善、鶏唐揚げの食感改良、ハンバーグの肉粒感向上など製菓以外の食品への応用も可能です。
低い温度帯での
ガス発生量が多い
一定のガス量を
緩やかに出し続ける
高い温度帯での
ガス発生量が多い
ベーキングパウダー成分をコーティングして基剤と反応剤との反応性を制御すると、ベーキングパウダーをタイプ別に設計できます。
ベーキングパウダーのコーティング技術は、プレミックスの保管時に起こるベーキングパウダーのガス量の低下抑制にも効果的です。1922年に日本で初めてベーキングパウダーを国産化した当社は、お客様が求める菓子作りに貢献できるベーキングパウダーの開発を長年にわたって続けてきました。
40℃・1時間 寝かした生地を焼成(パウンドケーキ)
ベーキングパウダーへ40℃の温水を滴下した状態
21世紀になって、JECFAより人体へのアルミニウム摂取量に関する注意喚起がありました。さらに、子供が頻繁に食べる菓子類に含まれるベーキングパウダー由来のアルミニウム量を問題視する新聞報道も出ました。アルミニウムは、ベーキングパウダーの構成成分であるミョウバン類に含まれており、2018年には菓子やパン類に対するミョウバン類の使用基準が定められました。
そこで、当社は、ベーキングパウダーの設計ノウハウを最大限に活用してミョウバン類を含まないベーキングパウダー「トップふくらし粉」シリーズを開発しました。「トップふくらし粉」シリーズを使用すると、ミョウバン特有の収斂味(しゅうれんみ:渋み・えぐ味)が無くなり、菓子やスイーツが美味しくなります。
一般的に、ベーキングパウダーは菓子・パン類に広く使用されていますが、奥野製薬工業では菓子・パン類以外の用途開発にも努めてきました。
当社で長年にわたって培われたベーキングパウダーの設計技術を磨いて、今後もベーキングパウダーの可能性を追い求めていきます。