パワー半導体は、電力の制御や変換を行う半導体の総称で、パワーデバイスとも呼ばれています。
CPUやGPUなどの大規模集積回路(LSI)は、人間の体では「頭脳」に例えられます。
一方で、パワー半導体は、人間の体で言えば「筋肉」や「心臓」にあたる役割を果たしているといわれます。
パワー半導体は、例えば電気自動車を駆動させるモーターや、カメラのセンサー部分を電気的にコントロールしています。
パワー半導体は、電圧や電力を制御して、電気的損失を改善できるため、スマートフォンやパソコン、エアコン、自動車、産業機器など幅広い用途にて活用されており、さらなる市場規模の拡大が見込まれています。
電力の制御や変換を行うデバイスをパワーモジュールといい、内部にはチップが搭載されています。
UBM(Under Barrier Metal) と呼ばれる無電解めっきは、チップ上のアルミニウム電極とパッケージ端子をはんだや銀焼結、ワイヤーボンディングで接合する場合と、電極と銅/アルミ張絶縁回路基板をはんだや銀焼結で接合する場合に用いられています。
UBMは、半導体製造プロセスにおける重要な工程の1つで、以下の役割を果たしています。
以上より、UBMは半導体製造プロセスの一環として、信頼性や性能を向上させるために重要な役割を果たします。
パワー半導体は、高電圧や大きな電流を扱うことができます。
しかし、それらの電気回路は、高電圧や高電流が流れるため、発生する熱も大きくなります。熱対策が不十分な場合には、周辺の部品が溶断してデバイスが破損し、半導体デバイスを搭載した電子機器の安全性、性能、信頼性を損なうことがあります。
そのため、パワー半導体では、発熱した部品から熱を逃がす放熱性と、高温環境下での使用に耐える耐熱性が強く求められています。
当社は耐熱性の課題を解決するために、高温環境下での使用に適するUBM形成用表面処理プロセス「TORYZA EL PROCESS(トライザ イーエル プロセス)」を開発しました。
ウエハ上アルミニウム電極用無電解めっきプロセス「TORYZA EL PROCESS」では、アルミニウム電極上に局所腐食が発生せず、均一なジンケート皮膜が形成されるため、良好な密着性が得られます。
さらに、400℃の熱処理でもクラックが発生せず、高温常用に対応可能な無電解ニッケルめっき皮膜が得られます。
熱処理:400 ℃ 30 分
エリクセン塗膜強度試験機による押し込み試験後の外観比較 (ニッケル膜厚:3 μm 押し込み幅:0.5 mm)
冷熱衝撃、高温放置試験後の無電解ニッケルめっき皮膜のクラック発生
無電解ニッケルめっき皮膜 | クラック発生 | ||
---|---|---|---|
熱処理後 | 冷熱衝撃後 | 高温放置後 | |
TORYZA NCR HRC | なし | なし | なし |
従来ニッケルめっき皮膜 | なし | あり | あり |
大阪大学 産業科学研究所内 F3D実装協働研究所 ご提供資料
SiCチップ:SiCチップにチタンスパッタ膜→銀スパッタ膜を形成
接合条件:無電解ニッケルめっき(膜厚:7 μm)したDBA基板上にSiCチップを銀ペーストを用いて焼結(1MPaで加圧、300℃・1h)
半導体分野においては、表面処理薬品会社が設計する設備をもって、プロセス認証を行うことが一般化しつつあります。
その要望に応えるため、当社はめっき薬品を開発する際に出てくるノウハウを最大限に活かした、半導体後工程向け無電解めっき装置「TORYZA EL SYSTEM(トライザ イーエル システム)」を開発しました。
半導体デバイス部品は、生産性向上のため、ウエハサイズの大型化が加速しております。
TORYZA EL SYSTEMは、最大12インチウエハが25枚搭載できるカセットを左右搭載。そのキャリアバスケットにより、1回に最大50枚の搬送が可能です。
TORYZA EL SYSTEM装置全体図
膜厚測定slot
12インチウエハでの無電解ニッケルめっき皮膜の面内均一性評価