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技術資料

トップフードテクノフォーカス

第10号

●ネコカリシウイルス(FCV)を代替えとしたカキの
ノロウイルス浄化法に関する研究

北海道大学大学院水産科学研究院 海洋生物防疫学研究室 笠井 久会、稲垣奈都子、吉水 守

Norovirus(NV)はヒトの腸管上皮で増殖するウイルスであり、近年糞口感染が問題となっている。しかし、二枚貝、特にカキがウイルスを濃縮し食中毒を引き起こすことから、水産分野でもその対策が急がれている。カキのNV浄化法の確立を目的として、培養できないNVの代替に、同じ科に属するfeline calicivirus(FCV)を用い、環境水中およびカキ消化管中での生存性、紫外線、電解処理および高静圧処理による不活化効果について検討した。FCVの感染価は保持温度が高いほど速やかに減少したが、10℃以下では検出限界以下となるのに2~3週間を要した。さらにカキ消化管中でも感染価は速やかに減少し、抗FCV活性を有する細菌も分離され、消化管内細菌の影響が示唆された。しかし、FCVを99.9%以上不活化するには2.5×104μW・sec/cm2の紫外線照射を要した。電解処理では、3%NaCl溶液および海水でそれぞれ有効塩素濃度0.23および0.41mg/L・1分間の処理により感染価が99%以上減少し、ほぼ検出限界以下となった。高静圧処理では、カキの殻を外す条件である80MPa・40℃・5分間の処理で、FCVの感染価が1~2桁減少した。以上の結果から、カキのNV浄化には電解海水を用い、水温を20℃程度とし、高静水圧処理を組み合わせることが効果的であると考えられる。ただし、代替ウイルスによる試験であることから、今後はNVの感染性評価系の確立が急務と考える。

●ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(DDAC)の
大腸菌殺菌作用と細胞の形態的変化

総合技術研究所 食品研究部 吉松 孝

試験菌株の増殖曲線より、DDACは溶菌を起こし、比増殖速度と誘導期の両方を阻害する混合型でありことが分かった。そのときの阻害率は、薬剤濃度の2乗に比例し、LC50が0.7mg/Lと長鎖アルキル基が1つのものに比べて殺菌効果が優れていることが分かった。また、50mg/Lの薬剤による30分間の処理では、電子顕微鏡による観察においてブレブの形成は認められなかったが、20mg/Lの薬剤で1晩処理するとブレブの形成が、明瞭に見られた。以上より、まず殺菌が起こり、結果としてブレブの形成が起こると考えられた。

●洋から和への変容が、カステラに『馥郁さ』をもたらした。

株式会社 カステラ本家 福砂屋 殿村 育生

カステラは、ご存じのように16世紀頃、西と東の文化の出会いによってもたらされたものの一つです。弊社福砂屋のカステラづくり380有余年は、このカステラの発展の歴史にまさに重なっているわけです。そこで、これまで長年、調査、研究してきました内外の文献なども踏まえ、味わいの変遷といったところを主題に、カステラの今日までの歩みのおおよそをご紹介いたすべく、この寄稿を機会にまとめた次第であります。

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